5月9日水曜日ご依頼主様へ発送いたしました。
Gスペック22,000円+チューニング費用15,000円
2017・2018年流通のGスペックは、マウントベースが新しい金型での生産になり精度の心配がなくなりました。
新しいマウントベースは前後・左右の水平が確保されている他に、溝の幅が従来品より僅かに広げられた事により、ピカティニー規格で作られているノーベルアームズのマウントリングが使用可能になっています。実用上の問題で純正マウントベースを社外品に付け替える必要はほぼ無くなったと思います。
2017~2018年物に共通の特徴でレシーバーエンドがストックの定位置より後ろへ乗り上げています。チューニング過程で解消します。
ストックの消音加工です。ウレタンスポンジとニトリルゴム板を使っています。
ゴム製のパットプレートは太鼓の皮のように音を響かせますので、スポンジを当てて両面テープで固定します。
ストックの開口部はマガジン挿入部以外は面取りされていません。素手で掴むと痛いくらいなので1,000番のペーパーで角を落としておきます。
ストックの表面保護のためコーティングしておきます。
機関部を分解。パーツの加工状態を確認します。
シリンダー開口部内側のバリが多い。インナーバレルのアーチ部分にバリ、出口のテーパー加工は角が立ちすぎ。ノズルは左下がチャンバー入り口に強く当たっているため削りかすが付いているのでレシーバーエンドの固定位置を補正する必要があります。シリンダーの気密は良好。
トリガーシステムを分解してシアーとトリガーの当たり面等を研磨、各部にグリスを塗って組み上げます。
インナーバレルは入口内面を鏡面仕上げ、アーチカット部分を面取り。
出口テーパー加工仕上げ直し。内外面を超極細コンパウンドで研磨後コーティングしています。
加工前
加工後
電動工具をつかっても1時間くらい掛かります。
チャンバーの入口(ノズルが入る部分)を滑らかなR状に加工します。左のパーツ入り口部分にノズルが当たって削れた跡があります。削れたカスはノズルの段差部分に溜まりますが、微細な破片がパッキン入り口付近に付着します。
加工前
加工後
ホップレバーの突起を嵩上げする形状にABSパイプを加工し取付けます。
クライアント様の主な使用弾が0.20g弾とのことですので、ホップが強くなり過ぎないように厚さを調整しました。必要時には0.25~0.28弾も使えるように微調整いたします。
加工途中
完成
インナーバレル出口とサイレンサー入り口をつなぐマズルをテーパー加工してエアーの流れをスムーズにします。
加工前
加工後
レシーバーエンド・レシーバー・アウターバレルの組み付けを加工調整します。
ノズルがチャンバー入り口の左下に当たっていましたので、右上方にアルミテープを二重に貼っておきます。レシーバーエンド下部はトリガーシステムの後方を固定しますから補正を強くしすぎると動作に影響が出ます。同様にレシーバーエンドを上から固定するマウントベース後端のネジを締めすぎてもトリガーシステムの動作不良が出る場合があります。
レシーバーとアウターバレルに挟まれるレシーバーリングは片面の4カ所の突起を切り取ってから組み込みます。
加工前のアウターバレル後端。レシーバーリングは組み込まれています。この状態でどこまでねじ込めるか確認します。
あと90度ねじ込めるようアウターバレル後端を削ります。レシーバーリングを強く圧迫しながら正位置で止まるようにします。圧迫されて内径が僅かに細くなるレシーバーリングでシリンダー前方の保持がタイトになります。
インナーバレルにブレ止めのシールテープを巻きチャンバーを組み立てます。
アウターバレル内にウレタンスポンジを挿入。インナーバレル先端にブレ止めのシールテープを巻き組み込みます。
シリンダーを入れず、サイレンサーを装着した状態でインナーバレルのセンターが出ているか確認します。
明るい方へ銃口を向けレシーバー後方から覗きます。覗く位置を上下左右に動かすとサイレンサー取り付け部の影が微かに見えます。影の見え方が偏っていましたらインナーバレル先端の固定をやり直します。サイレンサーの固定が傾いていても同様に見えますのでねじ込み部分を加工します。
シリンダーを入れてトリガーシステムの動作を確認します。アウターバレルを加工してレシーバーに組み込んでいますのでその分チャンバーが後退し、シリンダーの前進位置も下がっています。個体差でトリガーシステムの動作に影響が出る場合があります。
本機ではコッキング後ボルトハンドルを下げてもトリガーが引けませんでした。安全装置のトリガーストップが、加工により後退したボルトハンドルに当たって押し下げられています。トリガーストップの前方を少し削ります。
当たっている部分を研磨してトリガーストップが定位置に上昇出来るようにします。
シリンダーの後退により、ボルトハンドルの前部とレシーバーエンドの間には隙間が出来ます。
ボルトハンドル後部はレシバーエンドの切り欠き部分に当たっています。発射時のシリンダーの保持に役立ちます。
シリンダーを開けて、
各パーツの状態を確認します。
ピストンのOリングに傷があります。新品なのに?
メーカーの動作確認と試射でこれだけ傷が入っています。社外品に交換します。
ピストン外周も少し削れています。ペーパーで研磨します。
新品なのにこんなにあちこちが削れている原因は、VSRではお約束の「シリンダー開口部のバリ」。バリというかノコギリかヤスリ状態になっています。
後ろ右側
後ろ左側
中間部 他にも前方に大きな盛り上がりがあったりします。
この中をピストンが動いていますから、あっという間にキズだらけになります。
1,000番、2,000番のペーパーで引っ掛かりが無くなるまで磨きます。
少し凹凸が残りますが、開口部を広げ過ぎない程度に止めます。
ピストンヘッドに2mmの穴を4箇所開け、Oリング内側まで貫通させます。発射時のピストン前進後にインナーバレル内に負圧が発生した時、ピストン後方の空気を吸い出せるようにします。
ピストンの重量を調整します。スプリングのテンション増加と合わせての加工です。
ご依頼者さまの使用弾が0.20g弾とのことですので、このくらいの重量が良いと思います。0.25~0.28g弾も使えます。
エンドキャップ・ボルトハンドルを分解、清掃しグリスを塗って組み立てます。
汚れに見えるのは塗料が削れた色です。緩まないようねじ止め剤を使います。
ノズルの段差部分を滑らかに加工します。チャンバー入り口に当たる部分です。
ヘッド外周(太い部分)の角も丸めておきます。メンテナンス時にシリンダーを入れる際、アウターバレルに圧迫されて内径が狭くなっているレシーバーリングに当たるためです。
加工前
加工後
シリンダーヘッド内面をテーパー加工します。ピストンヘッドに開けた4つ穴をふさがない形状にします。
加工前
加工後
シリンダー内面、スプリング、ピストン内部にグリス塗り組み上げます。コッキングの度にスプリングにグリスが行き渡るようピストン内は多めにグリスを充填しています。
全体を組んで動作確認をします。
今回のチューニングはご依頼者様の使用環境(中距離・室内・ゲーム用)を考慮して「軽快な動作」「強過ぎないホップ調整」を念頭に加工致しました。
この状態で1発ずつBB弾込めて長距離の弾道確認、ホップの調整幅の確認をしました。弾道は良好、ホップアップは最小から最大まで使用可能です。0.20~0.30弾まで使用可能です。
出力調整はノズルにABSパイプを挿入し内径を絞ります。微調整が可能ですし出力を上げ過ぎた時のやり直しも容易です。
フィールドのレギュレーションにより「0.20g弾で90m/sを超えないように」とのご要望でしたので0.20g弾 87~88m/sに調整致しました。
パイプを入れBB弾を当てて少し押し込みます。
20mシューティングレンジで試射いたしました。0.20g弾と0.25g弾でゼロイン後ワンマガジンづつの一発勝負です。いずれも真ん中の的を狙って撃っています。手持ちの立射ですので私の腕の悪さが出てしまっていますが、0.20g弾で左右に1発づつフライヤーらしき弾道がありました。
0.25g弾は比較的まとまっていると思います。手ブレやトリガーミスの通り飛んでいる印象です。
この他に20m先,直径20cmの5枚並んだ的をワンマガジン分速射・連射いたしましたが0.20g弾で全弾命中しています。
ご依頼主様のご希望に沿う性能になっているとよろしいのですが、現状でよろしければ全体をクリーニング・再コーティング、各部のねじ止めをチェックして発送させていただきます。